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まさにドキドキ・ワクワク新しいチョコレートを企画できるなんて。そして私が企画したチョコを全国の乙女が手に取って彼氏をゲット!ついでに私も淳也をゲット! なんてことになったら嬉しすぎるではないか!
企画会議室は完全防音で外部からは見えない完璧な情報隔離室だ。課長の有馬由紀子が正面中央に座り進行していく。
「えー、時間が欲しいのでバンバンアイデア出して!」
すると一斉に手が上がる。いまだに慣れないのだがウチの部署は全員一斉に話し出してしまうほど企画に対する社員の意識が高いため、挙手制を取り入れたらしい。
有馬課長が発言権を一人一人に与えていく。
「じゃ、吉井さん、お願い」
吉井順子。今年で40歳を迎えるこの企画部のエースである。何よりも卓越した情報量で都度の企画にマッチした提案をしてくる。なんと企画の採用率は40%を超える。
「では、発言させて頂きます。今回のバレンタインデー、キーケースもしくは小銭入れで勝負してみてはどうかと考えます」
え?どうした。何をこの人は言ってるんだ。ウチはお菓子メーカーですぞ。そしてバレンタインデーでござるよ。チョコでしょそこは。つかチョコの企画会議でしょ。
「なるほど、結構渋い線できましたね吉井さん」
そう言ったのは森田隆文係長。いや、そりゃ男性へのプレゼントにはいいかもしれませんよ。え?あ?チョコの付属品プレゼント的なやつかな?
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