第一話 「見えない階段」

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今日はいくらか身体が軽い。軽いと言ってもいつもの俺の体調からすると、だ。 眩暈はするし、頭も痛い。これが普通の人だったら、親は慌てて病院へ連れていき、学校や会社はもちろん休んでもいい。 それくらいの身体の異変が今の俺のいくらか身体が軽いレベルだ。 そんなことを勝手に頭の中でナレーションして、フッと笑う。 俺は朝ごはんと薬を自分の部屋に留守番させて部屋を出た。病室を出て、屋上へと向かう。 完全な一人きりになれる空間が屋上だった。 僕の病室は三階。屋上は一つ上の四階なのだが、階段の半分を上がった頃には僕の息はとっくにきれていた。 後は手すりに寄りかかり一つ一つ上がっていく。 階段の一番上まであがると大きくため息をつき、その場へ座る。無機質なコンクリが冷たくて気持ちいい。 僕はその場に横になり、その無機質さを身体全体で感じる。 未来   ん?誰かいる? よく見ると屋上への扉が少し開いていて、そこから聞こえて来るようだ。 未来   これは・・・歌? 絢和 ん? 未来   あ、えっと。 絢和   ・・・あ。どうも。 未来   どうも。ここで何してるの?     
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