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「それで? 名前はどうするの?」
琥珀にそう言われ、俺は戸惑った。こいつの親も分からんのにどうやって名前を付けろと?
すると琥珀は再び小さな四角いものを取り出した。
「李苑はさ、この子がどんな風に育ってほしい?」
「そうだな、大和撫子が望ましい」
「もう十分大和撫子だと思うけどなぁ。じゃあ、そのまま”撫子”でいいと思うよ」
「は?」
「下界の名前の決め方ってどんな子になってほしいかで決めるんだって。」
「家系は関係ないのか」
「そうみたいだね」
琥珀は”ニンゲン”の前にしゃがみ込むと優しい声でこう言った。
「君は今日から”撫子”ちゃんだ。」
「……」
あまり表情は読めなかったが、おそらく喜んでいたのだと思う。……そう願いたい。
「じゃあ、撫子ちゃん。俺らと買い物に行こうか」
琥珀が立ち上がり撫子の手を取った。
「ほら、李苑も!」
「何故俺まで……」
俺らはしょっぴんぐもーる、とやらにやってきた。
「まずは服からかな」
琥珀は撫子の手を取って先へ進んでいく。
何故あいつはこんなにも下界に慣れているのだ。
一日かけて俺らは撫子の衣服などを買って回った。
「いい物がいっぱい買えたね、撫子ちゃん」
「……」
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