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「まあ、リラックスしてよ。何もないけどさ」
「慎一も疲れないようにしてね。まだリハビリ期間なんでしょ」
「まあ……大丈夫。疲れたときは遠慮なく休むよ。……だけどほんとうに会えて嬉しいからさ」
テレビでは報道番組が流れていた。真智子はテレビの方に目を映しつつ、慎一がさっき炬燵のテーブルの上に置いた小箱が気になった。
「あの、これ一応今はもらっておく」
「うん。まあ、返事はともかく、ハンガリーのブタベストのおみやげだと思ってあまり気にしないでもらってよ」
「開けていい?」
「いいよ。もちろん」
包みを開けると中からはシンプルな型の銀箔の指輪が出て来た。
「今日の記念に受け取ってもらえたら、嬉しいよ」
「うん。じゃあ、もらっとく。さっきの話はあとできちんと返事するね」
「……。今回、来てくれただけで僕はもちろん、嬉しいよ。病気のことがあるから、真智子に迷惑はかけられないというのもほんとうだし」
「……慎一のこと、心配で会いに来ただけでまだ、精一杯で……」
「そうだよね。無理に返事しなくていいからね。こうして会いに来てくれただけで僕はほんとうに嬉しいんだ」
「慎一……昔と少し変わったような気がする……」
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