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真智子が家に帰って、携帯を確認すると絵梨から長い返信が届いていた。
―こちらは管弦楽と合流するのは新学期が始まってからということで、ひとりで練習してたから大丈夫よ。明日から練習に参加してくださるってことで安心したわ。このまま新学期を迎えるようになるんじゃ、真智子さんは休学になって新学期からは私ひとりで管弦楽と合流することになるんじゃないかって思ってたところよ。せっかく二台のピアノのための楽譜をもらっているのにね。まあ、今は春休み中だし、お彼岸とか他にも風邪をひいて熱を出す人だってときにはいるから事情があるならしかたないわよね。明日からはよろしくね―
真智子は絵梨の返信を見て、内心慌てて返信を返した。
―こちらこそ、まだ、練習不足ですが、よろしくお願いします。今日、これから、練習して、少なくとも『牧神の午後への前奏曲』は一通り弾けるようにしておきます―
―管弦楽と合流するのはまだしばらくあるし、そんなに慌てなくていいから、明日は来てくださいね―
―はい、必ず行きます―
真智子は携帯を閉じると『牧神の午後への前奏曲』と『アンダンテと変奏Op.46』の楽譜を取り出し、音源プレーヤーを聴きながら両方の楽譜を一通り捲り目を通した。そして、先ずは『牧神の午後への前奏曲』の楽譜を譜面台に置くと、練習に集中した。
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