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「以前から気になってたんですが、叔父さんは付き合ってる人いないんですか?」
「付き合ってる人?もちろん、友達はたくさんいるよ。仕事付き合いもあるからね。でも今、住んでるマンションで一緒に暮らしたのは慎一君、君だけだよ」
「えーっ、真智子の前でそう話をふりますか。実は誰かいい人いるんじゃないですか?」
「もちろん、好きになった人も憧れた人もいたし、親しくなった人もいるけどね。これから一緒に暮らしますって人は今はいないかな。もう、三十過ぎてるし、早く結婚相手、見つけろよって兄貴にも言われてるんだけどね、慎一君に先越されたね」
「真智子のピアノを聴けば、僕が真智子を選んだ理由がきっとわかりますよ。真智子のピアノは人の心を包み込む魅力があるんです。落ち着いたら、そのうち僕たちの演奏を聞きにきてくださいよ」
「いいね。慎一君と真智子さんは音楽を通して結ばれているんだね」
「はい。慎一さんのお陰で私は音楽の道を追及できたと思っています。大切な先生でもあるんです」
「私にもそんな風に思ってくれる人が早く現れないかな」
「そんなこと言って、もう、何人も現れているんじゃないですか?叔父さんにお世話になっている人、たくさんいる気がするし」
「ま、仕事とプライベートは別ってことで。真智子さんのお友達とか知り合いで、いい人いたら、紹介してくださいって言いたいところだけど、ちょっと年の差が気になるところかな?」
「そうですね……。お仕事が弁護士さんなら申し分ないと思いますけど……失礼ですが、年はおいくつですか?」
「今、三十四歳。慎一君とは十五歳の年の差かな」
「そうそう、真智子とも同じ年の差ってことになるよね」
「兄貴とは十歳の年の差だから、私と慎一君も叔父と甥といっても兄弟みたいな感じかな?それにしても慎一君はハンガリーから無事に戻って来れてよかったな。あの時は兄貴もほんとうに慌てて、ハンガリーまで迎えに行ったんだよ。由紀子さんが亡くなったのも急なことだったから、思い出したんじゃないかな。これからも持病のことでは無理しないように気をつけないといけないよ。真智子さんも気をつけてあげてくださいね」
「はい。私もあの時は連絡がとれなくなって心配だったんです。でも今こうして一緒にいれるし、再会できてほんとうに良かったです」
三人はまるで昔馴染みのように話が弾み、真智子の緊張もすぐに解けて和やかな時間が過ぎていった。
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