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いざ、実家を離れるとなると寂しい気持ちもよぎったが、いつでも帰ってこれる距離なのだからと、自分の気持ちを諌め、慎一が暮らしはじめたマンションへと向かった。
真智子が慌ただしく日々を過ごすうち木々の枝葉は衣替えし、街並みはすっかり緑に包まれ、頬を撫でる風は少しずつ初夏へと向かう空気を含みはじめていた。
―このところ、ほんとうに慌ただしかったな―。
光が丘駅へと向かう道を歩きながら、真智子はふっと空を見上げた。
―そういえば、修司やまどかはどうしてるかな?新学期を迎えて忙しくしてるかな?
そう思いながら、真智子は今こうして慎一と一緒に暮らすマンションに向かっていることがどこか不思議なようなふんわりとした気分に包まれていた。
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