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 そう、ここは地球ではない。  ここは地球からおよそ8光年離れた惑星「ネオン」。  人類は今から100年以上前に、移民船に乗り、惑星「ネオン」へ渡ってきた。  100年近くにわたる長い航海を人類は子を生み、育て、想いを次世代に受け継いでいくことで乗り切ったのである。人類が乗り込んだ巨大な移民船は、ほぼ完全な生物サイクルが構築されており、人々は移民船の内部で生産された食料を食べて命をつないだ。しかしながら、限られた空間でそれを達成するために、人々が口に出来る食べ物は限定されていた。したがって、地球における食の記憶は人々の中から徐々に薄れてしまっていたのである。  絃史と優蘭は「ネオン」で生まれた人類の第1世代にあたる。千人ほどが搭乗して出発した移民船の人口は、「ネオン」到着時には4千人ほどにまで増加していた。絃史や優蘭と同世代の人間は数百人ほどいたが、絃史と優蘭はよほど気があったらしく、幼いころからいつも一緒で、それが苦になったことは一度もなかった。
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