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マリカさん的に説明すると『憎たらしい言い方しかできひん、馬鹿坊や』のカズヤさんは、先生の秘書をしながら自分でも簡単な字幕翻訳の仕事を受け始めている。
私が来る前は忙しい先生のスケジュール管理や助手の仕事が手一杯でなかなか字幕作りができなかったようだけれど。
そろそろ私の教育にも力をいれようと、先生が字幕翻訳の仕事のペースを落とした事と、タミエ先生に入ってきた仕事の中でもカズヤさん向けの仕事を割り振る率を上げた為だ。
『もうそろそろカズヤも一人立ちさせる準備をせなあかんもんなぁ』とさっぱりした物言いながら寂しそうな表情を浮かべたタミエ先生。
この二人は師匠と弟子、という関係がベースだけれども、時々、親子喧嘩?と思うぐらいの言い合いをすることがある。
カズヤさんは自分に割り振られた仕事に関しては決して文句は言わない。
けれど、先生がご自分の体力以上の仕事を抱えると。
『先生はご自分がスーパーウーマンやと勘違いでもされとるんですか?ってかアホやろ?ペース配分もろくにできひんくて、よくプロを名乗ってんなぁ!』
『しゃぁーないやろ!せっかくええ映画やのに、制作費が少なくて誰も担当してくれへんって泣いてたんやもん!』
『もん!って可愛く言うても可愛いないわ!自分の歳、ほんまにわかっとるんか?今年、還暦やねんで!巣だった元弟子にでも振ったらええんやんけ!』
『そんなん!安い金銭しか渡されへん仕事、悪くてよう振れへんわ!』
回想終わり。
普段は最低限の敬語を先生には使っているカズヤさんは先生との言い合いになるとこんな感じ。
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