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「ママ、なんで泣いているの?」私はママが心配で聞いた。
「だってねさくら、ママあんたがどこか遠くに行っちゃうような気がして、寂しくてね・・・・・・。だめね、だめなママね。ほんとうはもっと、わたしが強くなってあなたを、あの人の分も支えてあげなきゃいけないのに、ね」
「ママ・・・・・・」わたしはママの手を強く握った。ママの気持ちを聞いて私の意思は固まった。
「池沼さん!」
ガラッ
「はいっお呼びでしょうか、さくらさん」シンクの上の窓が開き、池沼さんが答えた。
「池沼さん、わたし総理大臣になってもいいわ」
「おお、本当ですか」私の回答に池沼さんは思わず表情をほころばせた。
「ええ、でも条件が一つあるの」
「条件・・・・・・ふむ、それはどういった条件でしょうか?」池沼さんの表情はふたたび堅さを取り戻す。警戒して目を細めた。
私は深呼吸して言った。
「パパを、わたしのパパを助けてあげて。そしてうちに帰れるようにして欲しいの」
「さくらっ」私の返答に、ママは顔を上げてハッと息を飲み込んだ。
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