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■星に願いを -Epilogue 1-
結衣子がこの輝きを手にしたのは初めてではない。贈り物、形見、あるいは自らでも得てきた。しかし、このかたちは初めてだった。
ピンクゴールドとプラチナを土台にして真ん中にひとつ、六つの立て爪。その傍らにあしらった三粒の小さなメレ。
元は黒鉛と同じ炭素だ。それがわずかな環境やタイミングの違いで運命を分かつ。人との縁と同じように。
鉱石は、自然の営みによって形成される。宇宙のどこかで。地球のどこかで。ミクロの世界の奇跡的な出会いが起こり、圧力や温度などの厳しい条件下で生まれる偶然の産物だ。だからこそ人は意味を持たせたのだろう。『これがもしかしたら、超新星爆発を起こした星のかけらかもしれない』
そんなふうに言って彼は結衣子にひと粒の石を渡し、偶然の産物である永遠なるものを誓った。だからこそそこに意味があると結衣子は思った。
口元に笑みを浮かべ、結衣子は右手で、左手の薬指を抱きしめるように胸元で握った。
たったひと言で。たった一秒で。世界はいくらでも変えることができる。たくさんの人とかかわってそれを何度も実感してきた。たったひと言を言うだけで。たった一秒を違えるだけで。変わっていたであろうこともいくらでもあった。
胸を高鳴らせ、結衣子は扉の前に立つ。
背筋を伸ばし、胸を張って、その向こうにいる人に会いに行くために。
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