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重経の従者達は、お春達から残った山賊達が離れていったところで彼らの前に現れた。山賊達は一瞬二人から離れたが、依頼主の家来とわかると、警戒を解いた。
「これでいいだろう。言われたことはやったはずだ」
「ああ、ご苦労だったな」
二人は目配せをすると、一人が山賊達の背後にまわった。
「何のまねだ」
それには答えず、二人は抜刀し彼らを斬り伏せる。最後に残った一人が何か言おうとしたが、それは許されず斬られ倒れ伏す。
「帰るぞ」
死体には目もくれず一人が背を向けるが、もう一人が、死体にかがみ込む。
「何をしている」
「これ」
山賊の懐から転がり出た巾着を顔の高さに掲げ、軽く振った。銭のこすれる音が重くなった。
「五百文くらいはある」
「欲しいんだったら、貰ってけ」
肩越しに言うと、今度こそ背を向けた。巾着を懐に仕舞うと、先を歩くもう一人の後を追った。
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