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「諸君!次こそ!次こそスクープを取ってくるのだよっ!!」
新聞部部長、赤川光哉は叫んだ。此処は高校の新聞部部室。会議机をぐるりと囲んで揃っているのは自分以外の新聞部のメンバー五人。副部長のくせに、ふわぁぁ、と大きな欠伸をした女子、大山田茜を、光哉はぎろりと睨んだ。
「そこ!欠伸するでない!やる気を出せやる気を!!」
「そんなこと言われても~。どうやってやる気を出せばいいっていうのよぉ」
再度大口を開ける茜。新聞部の謎はいくつもあるが、光哉からするとこの女の存在が一番謎なのである。彼女がやる気らしいやる気を見せたことが一度もない。何度自分がこう熱く語りかけても暖簾に腕押し、柳に風。それなのにいつの間にか副部長の椅子に座っていたこいつ。一体誰が推薦してOK出したんだと言いたい。
「赤川君さぁ、いつもそつやって一人で熱血してるけど、成果だせたことないじゃないの。新聞部の予算がっつがつに削られて危機感感じてるのもわかるし、もはや人気なさすぎて校内の掲示板のスペース確保も難しくなってるのは知ってるけどー」
「あーそれ聞きましたー。文化祭の新聞の売り上げ、次赤字出したら今度こそ廃部になるかもって騒いでましたもんね先輩ー」
「赤川のマジメぶりは涙が出るレベルだな、うんうん!大好きなフィギュアを作る時間も惜しんで部活動に邁進するのはさすがと言わざるをえない!」
「ですよね、そのせいでタツマキナインに出てくる美緒高校のマネージャーのマイカちゃんのフィギュアも塗装できなくてそのままなんですよね」
「ポーズに悩んで悩んでやっと色塗りの前段階まで完成させたのになぁ」
やいのやいのと好き勝手騒ぐ新聞部の連中。ちょっと待て、と光哉は青くなる。
「お前らなんで、俺がフィギュア自作してるの知ってんだ……?しかもなんのキャラ作っててどの工程まで進んでるのかバッチリ……」
お前らはなんだ、ストーカーか何かなのか。すると茜がはい、と手を挙げて。
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