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「まあそんな当たり前のことは置いておいて~」
「置くなよ!?ていうか当たり前ってナニ!?みんな当たり前に知ってるって言いたいんか!?」
「私たちのことなんてどうでもいいじゃない~。それより聞かせてよね、赤川クンは今度はどんな戦略でいこうとしてるんデスカ~?」
間延びした口調でほわほわとほざいてくる副部長(仮)。言いたいことは山ほどあるが、めっちゃんこあるが、そっちに話を振られたのでは乗るしかない。
そう、なんといっても一番大事な――新聞部の未来がかかってるのだ。
誰も見ない読まない足を止めない、の人気ナッシングな校内新聞を継続していくためには。なんとしても、新たなスクープを入手する必要があるのである。
「戦略も何も……決まっている!こうなれば校内の有名人に密着取材して、スクープを引き出す他あるまいて!!」
ホワイトボードに、ででん!と文字を書き出す光哉。
「俺のネタはこれだ!“熱愛発覚か!?野球部監督と生徒のイケナイ恋愛っ!!”ゴシップっぽくて女子が食い付きそうだと思わないか!?この際BでLな恋愛を妄想させるのもやむなしだっ!!」
いかにもヒゲのおっさん、な外見の野球部監督は昔からロリコン疑惑がかけられている教師の一人である。少し前に部室にエロ本を持ち込み、校長からこっぴどく叱られたというのは有名な話だ。
そしてこの監督、実はショタコンでもあるのではないか?と生徒たちから噂されているのである。野球部の部員にセクハラをした現場を見ただの見てないだのという話をちらほら耳にするのだ。まあ、噂の発生源が腐った乙女達であるとのことなので、まったくフィルターがかかっていない保証はないのだが。
「えっと、野球部の榎本監督のショタコン疑惑が真実かどうか確かめたいってことで、おっけです?」
女子部員の一人がこてん、と首を傾げて言う。
「確かに興味は引けそうですけど。そのネタだけで全部埋めるの無理くないですか?」
「そうだ、だからお前達にも協力を要請したいと言っている!」
ばんっ!と机を叩いて光哉は宣言する。いつも暑苦しいですよね赤川先輩、とぼそっと呟いた後輩の声が聞こえた気がするが無視だ無視。
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