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「俺の密着取材だけでは、記事の全てを埋めることは難しい……!よってお前達にも、締め切りまでの残りの期間全力でスクープを探しに行って欲しいんだ!!テーマはズバリ、“衝撃の事実発覚!”熱愛でもホラーでも浮気でも何でも構わない、みんなが驚くようなとんでもないスクープを見つけて記事にするんだ。そうしなければ我々は……新聞部は生き残ってはいけないのだよ!!」
頼むみんな!と一縷の望みをかけて五人の部員達を見る。彼らは顔を見合わせ、そして。
「……衝撃の事実発覚!ってテーマなら。一個ネタ持ってるけど、聞く~?」
茜がゆるゆると手を挙げた。まさか、と光哉は目を見開く。まさかこんなこともあろうかと、事前に新しいスクープを用意していたとでもいうのか?
「お、大山田……っ!お前、既にスクープをゲットしていたのかっ……!?すまない、いつも眠そうでやる気なくて胸と顔だけがでっかい役立たずの副部長だとか思っていて本当にすまなかった……!!」
「殴っていい?」
ぽこーん!と素晴らしい音がした。彼女が投げたノートが光哉の顔面にクリーンヒットする。なんだよそれこそ当たり前のことを言っただけなのに何故怒るのだ。というか殴っていい?と言い終わる前に投げてたのは多分気のせいではないと思うのだけども。
「あのさー赤川~。赤川知らないかもだけど、うちのガッコの部活動って、活動も申請もルールがゆるっゆるなのよね~」
パンパン、と手を叩きながら何食わぬ顔でパイプ椅子に座り直す茜。
「ぶっちゃけ、申請する部活動の名前と、部室に掲げる名前が違っていても良かったりする」
「え」
「ていうか~表向きの活動内容と実態がびみょーに一致してなくてもいいことになったりする~」
「えええ!?」
「基本的に校長が“なんか面白そうな部活”だと思えばわりとなんでも申請が通るし部員一名でも成り立ったりする」
「えええええ!?」
「さてここで問題です。三年生で我々のリーダー気取ってた赤川クン。……君、自分が一回も部長って呼ばれてないことに気づいてた?」
「………………ハイ?」
え、ちょっとまて。
ちょっとまて。
うちの部活動ルール緩すぎだろ、とか。校長の権限微妙に強すぎだろ、とか。いろいろツッコミたいところはあったのだが。
もしや今の話――他人事ではなかったり、する?
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