友人(キアラン)

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 交渉や会議の付き添い、地方の視察などで城を空ける事も多いシウスの補佐として仕事は出来ている。街の中に隠した避難シェルターの設計、危険物を隠すための何重にもカモフラージュした隠し倉庫、武器庫の設計。これらもキアランがやった。それが今回生きている。  他からすれば十分な働きだという。ただ、地味だというだけだ。 「俺は、凄いと思います」 「え?」 「キア先輩、宰相府の仕事の他に予算の事とかもしてますよね? こんな大所帯なのに、凄いと思って」 「貴族出身の奴等がどんぶり過ぎるんだよ。商家出身からしたらありえん。あんな不明金ばかりの決算書を実家で出してみろ、殴られて説教だ」  呆れるくらい騎兵府からの決算書は酷かった。主に不明金が多くて横領かと疑いたくなるレベルだった。  騎兵府の書類をあれこれ調べるとちゃんと出てくるのに、ファウストはそれを拾いきれない。本人も訓練だ、他の報告書だ、調査書だと追い込まれるのを考えると無理も言えず、キアランが遅くまで拾い上げる事も多かった。  まぁ、最近ではそれもない。ランバートが手伝うようになって完璧な決算書が出来上がってくる。本当に見事で、感服する。さすがは商売も上手いヒッテルスバッハの子息だ。 「俺の能力は突出なんてしていない。当然のことを日々しているに過ぎないんだ」 「でも、それが出来るのだって凄いって、俺は思うんですけれどね」     
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