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褒められ慣れなくてトレヴァーを見てしまう。そこには他意も、世辞も感じない。思う事を思うままに口にしている。それが分かるから、余計に照れた。
「褒めたって何も出ないぞ」
「いりませんよ、そんなの。こうして話してるだけで俺は楽しいので、これがご褒美みたいな?」
「な!」
「キア先輩と話してると楽しいし、気持ちも楽になるっていうか。ランバートやゼロス、レイバンに嫉妬してるのが嫌だったけど、わりと普通なんだなって思えてるし」
自然と力んでいない笑みでそんな事を言うトレヴァーに、キアランは照れてしまう。素直そうな焦げ茶色の瞳が真っ直ぐに見つめてくるのは好意的なのだが、あまりに淀みがなくて恥ずかしくもなるのだ。
「俺は嫉妬深い方だぞ」
「そうですか?」
まずい、顔が熱い気がする。それを悟られるのが恥ずかしいからそっぽを向いた。酒を、飲んでおけばよかった。そうすれば顔の赤さを誤魔化せたというのに。
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