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「お前みたいに思いつきで行動していないだけだ」
「なにそれ」
じろりと睨まれて、ちょっと怯む。昔みたいにどんよりした隈の浮く目ではない。今のマーロウの目は、鋭さもあるのだ。
「俺が思いつきで行動してると思ってるわけ?」
「違うのか」
「がっかりだ、キアラン。俺は行動は早いが、その前にちゃんと考えて行動に移している。事態を把握して、出来ると思っているからやっている。思いつきだけで人の命を預かれるか」
心身共に健康になるということは、本人が持っている気迫や思いも強くなるのかもしれない。睨まれて、強い声で言われ、弱ったキアランはたじろいだ。
「キアラン、お前今情けない」
「な!」
「それで俺の双璧か。あんたは才能も能力も高い。あんたにしか出来ない仕事をしている。自分をどれだけ卑下してるのか知らないけれど、俺に出来ない事が出来るあんたを認めているんだ。あんまり情けない姿を見せるな」
言い捨てられて、怯んで、驚いて……情けなさに消えたくなる。キアランも評価している。何だかんだと言い合うが、キアランだってマーロウを評価している。自分にはない大胆さと行動力が、羨ましく感じるのだ。
「あんたは頭がいいんだ、その頭で考えろ。後はあんたの勇気だけだろ」
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