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「は? 嫁?」
同僚のマーロウに改まって呼び出され、開口一番伝えられた内容にキアランは目を丸くして暫く呆けてしまった。それというのも、こいつだけは無いと思っていたからだ。
書庫の亡霊。そう呼ばれた顔色の悪い亡霊のような同僚は他人に強い興味を抱かず、色恋にもまったく無関心で日々知識をため込む事に心血を注いでいた。
ジェームダルに向かった時もそうだった。出るのが面倒だと言って出て行った男は、帰ってきた時亡霊ではなくなっていた。
血色もいいし、何より自分の足で歩いていた。あれ以来書庫にこもることもなくなって執務室で仕事をしている。
何かが変わった。思ってはいたが、まさか嫁とは思わなかった。
「お前、ジェームダルで何をしてきた」
「仕事」
「嫁!」
「それは成り行きもあるかな。話せば長いから報告書読んで」
どうしてこういう部分でずぼらなんだこの男!
「まぁ、同僚だし報告ね。今度改めて合わせるよ。安息日前日はここを空ける事になるし」
「女性の、嫁か?」
「そうだね」
この男の嫁になろうという女性がいたのか!
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