342人が本棚に入れています
本棚に追加
「え! キアラン僕達の事は呼んでくれないのに!」
「それは……」
確かに部屋は自分の領域という感じがあって、あまり他人を入れない。シウスですら入れた事がない。というか、ウルバスの部屋に行くことはあっても入れた事はなかった。
不思議だ、トレヴァーは自然と受け入れて。部屋に入ってもいいと思えた。弱さも、見せられている。
オリヴァーがほっとしたように笑う。そしてポンと、肩を叩いた。
「大丈夫、その相手は貴方を大事に出来る人ですよ」
「知らないくせに」
「知らなくても貴方の顔を見れば何となく分かります。拒んでいないでしょ? 普段の貴方は誰に対しても壁を作って、同期なのに部屋にも入れない。そんな貴方が警戒なく招き入れるんです。いい相手ですよ」
そういえば、そうだ。あまりにプライベートな事を外でするつもりになれずに部屋に招いたが、そもそも他の相手にはプライベートな話をしたいと思わなかった。
特別。それを意識してみると、途端に気恥ずかしい気持ちが溢れて顔が火照ってくる。素直じゃない自分が「別に寂しいわけじゃない」と言うが、実際は少し悔しくて寂しいのだ。周囲が幸せそうで、羨ましいのだ。
「……俺の勝手に、巻き込むのは」
最初のコメントを投稿しよう!