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次の安息日前日、キアランは自室にトレヴァーを誘った。「妹の結婚式で貰ったワインがあるから」と言って誘ったのだ。
トレヴァーはその日街に出ていたらしく、部屋に来た時にはチーズなどを手土産にしていた。
「こんなに土産を貰って、悪いな」
「あぁ、いいえ。どうせ飲むなら楽しくですよ」
「そう、だな」
少しぎこちないだろうか。妙に心臓がバクバクしている気がする。
妹の結婚式で「祝いの品だ」とワインを二瓶貰った。白と赤のそれをテーブルに乗せ、グラスを置く。不慣れな様子でコルクを開けようとしていると、横合いから手が伸びてきてそっと重なった。
「俺がやりますよ」
「だが……」
「お酒飲まないなら、こういう事が不慣れなのは当然です。気にしない」
そう言って、いとも簡単に開けてしまった。
ほんの僅か黄色がかった液体が注がれ、チーズなども皿に並んで、二人で向かい合って乾杯をした。嬉しげに一口含んだトレヴァーが美味しそうにしている。
キアランも舐めるように飲んで、酸味に少し驚いた。
「白は酸っぱいんだな」
「まぁ、赤に比べれば。でもさっぱりとして飲みやすいですよ」
「そういうものなのか?」
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