嫉妬(キアラン)

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 その中で、トレヴァーはあまり目立たない。ウルバスに言わせれば仕事自体が派手じゃないから、目立つ場所がないと笑っていたが。 「聞いてくださいよ、隊長! ボリスの奴、今回の遠征前は恋人いない、寂しいって言って、俺と一緒に愚痴ってたのに。それなのに……うわぁぁぁ!」 「あぁ、よしよし。ボリスは可愛い大物を釣り上げたんだっけね。こら、泣かないでよ。お前に泣かれるといないはずの弟に泣かれてるみたいでいたたまれないんだ」 「皆幸せそうで羨ましいっすぅ」 「いい人がいるよ、きっと」 「俺なんて所詮、余り物なんですよぉ」  「余り物」その言葉にズキンときた。そして、同じだと思った。黄金時代に隠れた、余り物だ。 「まず座りなよ。ほら、飲んでいいから」 「うぅ、ぐすっ、隊長ぅ」 「よしよし」  ウルバスを挟んで座ったトレヴァーはそこでようやく、奥にいるキアランに気付いたらしい。キョトッとして、次には羞恥に顔を赤くして騒がせた事を謝ってきた。 「すいません、キアラン先輩!」 「あぁ、いや……」 「あの、俺邪魔ですよね? 席」 「あぁ、いや。別に、構わない」  なんとなく、嫌な感じはしなかった。何より、同じ空気を感じた。キアランにはトレヴァーの訴えが、分かる気がしたのだ。     
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