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白い紙は、開くと黒の比率が高かった。
もやもやとした、バウムクーヘンのような形。
横にはアルファベットの羅列。
なんだこれ。
何かわからなかった。
が、それは一瞬だった。
「えっ、陽菜....」
俺が後ろを向くと、陽菜はにっこりと笑ってこっちを見ていた。
今まで見た中で、1番可愛い顔で。
「ふふ、昨日病院行ってわかったの。今、3ヶ月だって。」
考えるより先に、身体が動いていた。
気がつくと、陽菜の身体を抱きしめていた。
この気持ちをなんと言えばいいんだろう。
驚き。
嬉しい。
不安。
感謝。
怖い
大切。
愛しい。
「陽菜..。おまえさぁ..。」
俺の腕の中にいる陽菜の、顔は見えない。
でもきっと、とびっきり可愛い顔をしているに違いない。
色々な感情がごちゃごちゃとして、頭の整理がつかない。
俺に支えられるかな、とか。ありがとう、とか。
どっちに似てるかな、とか。陽菜に似て明るかったらいいな、でも陽菜よりはしっかりして欲しい、とか。
賑やかになるな、とか。
誰に報告しよう、とか。
名前はどうしよう、とか。
今考えなくてもいいことまで、浮かんできてしまう。
何から考えたらいいか、わからない。
でも、この感情こそが、人が幸せというものなんだろう。
「普通に教えてくれても、よかったじゃん..。」
「あ、そっか。その手もあったね。」
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