優しい兄

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私は、兄が大好きだった。 4つ歳上の私の兄は、大抵のことは人並み以上にこなす。 特に勉強だったら右に出るものは居らず、 その上端正な顔立ちと、すらりと伸びたスタイルのいい身体で、心惹かれる女子は後を絶たなかった。 時々自分と比べては、溜め息を吐いてしまうほど完璧な兄は、私の自慢であり、羨望の存在。 そんな私たちは、由緒正しき家系である"柚木"家で生まれ、育った。 政治の第一線で活躍している父と、それを支える温室で育ってきたお嬢様であった母。 母は、両親の反対を押しきり駆け落ちし、身一つでこの柚木家に嫁いできたと聞いた。 何不自由ない、 幸せな家庭。
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