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しかし母はある日、見てしまった。
夜の街に佇む、男と女。
それは間違いなく父の姿であり、隣に居るのは見知らぬ若い女だった。
それから、母は私の知っている母では無くなった。
何か、自分の中で壊れてしまったように。
何か、これまで繋ぎ止めていた一本の糸が切れてしまったように。
優しかった母は、嘆き悲しみ、
私に手を上げるようになった。
兄とは違い、所謂柚木家の欠陥品だった私は、余程母の気に触ったのだろう。
私の顔を見るたびに父と重ねるように私に何度も、何度も何度も暴力を振るった。
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