七月十八日

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「えっと、『花火を打ち上げる』って?」 「今から廃校に行くんだろう? つまり、最終的に死ぬのはそこだ。 誰の迷惑にもならないならさ、花火の一発くらいは打ち上げようよ」 「さすが男の子。 やることが大胆だ」 「もちろん今すぐってわけじゃない。 明日にでも店で買ってやれば良いと思う」 「楽しみが増えますなあ」 ついでに「祝砲になる」と付け足しておいた。 貴方さんは「カッコいい」と笑っていた。 「貴方さんは初めに何をしたいの?」 「それは明日の楽しみにしておいて!」 「了解。 どうせ死ぬんだから、派手にやろう」 お互いに頷き、今日が僕たちの『死ぬまでにやりたいこと決定記念日』になった。 「やっぱり、芦田くんと死ねるのは幸福だ」 「それは嬉しいな。 僕もだよ」 「運命共同体、だね」 燻んで汚れた歪な運命だけど、共同体になれるなら輝かせることだってできるかもしれない。 間も無く電車がホームに到着し、僕は三十日後の自分の姿を思い描きながら電車に乗り込んだ。 そして、形の崩れた夢と希望を乗せて電車は動き出した──。
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