七月二十四日

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帰宅して適当に時間を潰し、夕飯を軽く摂っていると、貴方さんからメールが届いていた。 『料理してて、遅れるかも! 先に行ってて』 そんなに大層な物を作ろうとしているのだろうか? 僕は『分かったよ』とだけ返信し、いつもより一時間早く家を出た。 なにも早く着いて嫌がらせをしようとかではなく、屋上で時間を潰すために必要な物を買いに行きたかったのだ。 「──いらっしゃいませー」 高校のある駅で降りた僕は、近くにあるホームセンターに足を運んでいた。 店内は自転車のタイヤの匂いや、芳香剤の香りなんかで満たされていて、あまり慣れない。 僕は吊りさがった案内板を頼りに歩き、到着したキャンプ用品売り場でランタンを購入することにした。 屋上が暗いから、正直言うとこの前の花火は導火線に火を着けにくかった。 故に多少の灯りが必要だと思ったのだ。 「一番安いのは……これか」 光量は弱い方がいい。 あんまり光が強いと地上から光が漏れてしまう恐れがあるから。 し、光量調節があったとしても頻繁に使うわけじゃないから、一番安いランタンを選んだ。 「あとは、そうだなあ」 意外と早くランタンが見つかり、時間を持て余すことになった。 このま廃校に向かっても良いが、一人で潰すには時間が長すぎる。 なので、もう少し店内を見て回ることにした。
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