18人が本棚に入れています
本棚に追加
/186ページ
七月二十四日
高校は今日から夏休みに入り、教室という名の窒息空間に身を置かなくても良くなった。
高校から一歩踏み出した僕の心は、草原を吹き抜ける風のように空き渡った。 あんまりにも気分が良いもんだから、帰り道のコンビニでアイスを買った。 当たりだった。
もしかすると、服役した受刑者が娑婆に出るときも、同じ気持ちなのかもしれない。
しかし今日からひたすら自分の『死』だけを考えるのが、受刑者と僕とで違う点である。
また、僕にとって娑婆の空気とは遥か地上のことであり、いま立っているこの世は抜け出せない監獄のようなものだ。
残り(今日を含めず)二十三日。
着実にXデイに近付いている。
最初のコメントを投稿しよう!