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「うん、きりいいとこまでやったし、ちょっと用事あって」
「そうなんだ、お疲れ」
「お疲れ様」
私は足早に山下の横を通り過ぎていった。
どうしても、隆成と話がしたい。
その衝動に駆られて、私は「ファレノプシス」へと向かった。
ファレノプシス周辺は静かだった。
喫茶店はあるけれど、もうしまっているところばかりで、ファレノプシスだけが、唯一灯りがついていた。
「間に合った」
私は小走りで店をのぞくも、さすがに店内は誰もいなかった。それでも、店の中へ静かに入っていくと、ドアのベルが鳴り、奥から
「いらっしゃいませ」
という、隆成の声が聞こえた。
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