二章 恋愛相談

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そうか、初めて感じた違和感は、そのことが関係していたのかもしれない。 感情の欠如というと、大袈裟かもしれないけれど、だからこそ人と違う雰囲気に心配にも似た胸騒ぎがしていたと思うと、今まで不可解だった自分の感情が腑に落ちる。 「今でも、忘れられないんですか?」 気がつけば、言葉にしていた。 「まさか、もう10年くらい前の話だよ」 そういって、笑ってみせた隆成の顔は、思いっきり作り笑いだとわかる笑顔だった。 「ごめんなさい。立ち入ったこと聞いてしまって」 「気にしなくて大丈夫だよ。ただ、そんな自分の話お客さんにしないから、内緒だよ」 今度は自然に、笑って言った。 自分の話をしない人が、自分にだけしてくれたことがとても嬉しかった。
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