二章 恋愛相談

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確かに、恋の願いが叶うことで有名だけど、それはやはり石の効果なのか、それとも、気持ちの持ちようで自分が切り拓けただけなのかもしれない。 でも、死んだ人は蘇らない。 願ったところで、叶わないから諦めてしまうのか。 茫然としている私に、若菜はニヤニヤしながら私を見てきた。 「なぁに?衣織、店長気になるの?」 若菜の言葉に、私は狼狽した。 「なっ…気になるっていうか、気にはなるけど、別に…」 全く上手く返すことができなかった。 図星だから。 それも、今まで感じたことのない感覚に、自分が一番戸惑っている。 そして、一番怖いのは本気になった時… 確かに直感では、恋をしそうと思ったけど、それは思い過ごしで、大切な人を喪った人の心を動かすことはかなりの至難の業で、そんな力が自分にあるとは思えない。 それが分かっていて、好きになってしまうかも知れないこの感情を抑えたくて必死なのかも知れない。
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