しゃぼん玉、割れた。

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そんな日々に終止符を打ったのは、意外にも祖母の死だった。 多忙な両親に変わって、私を育ててくれた祖母。 祖母の葬式の日、母は私に言った。 私の名前を付けたのは祖母だということを。 誰かを愛し、愛されるような美しい子に育ってほしいと願いを込めて、付けられた名前だということを。 このことを聞いて、私の中の何かが変わった。 その名に相応しい人になりたい。 苦手だった運動を始めて、ダイエットに明け暮れた。 大好きだった甘いお菓子やジュースを我慢した。 ファションやメイクを独学で勉強した。 外見だけじゃない。 どうやったら好感を持ってもらえるか。 どんな話をして、受け応えをしたらいいのか。 内面にも磨きをかけた。 血の出るような努力をして今の私がいるのだ。 もう二度と笑われないように。 独りにならないために。
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