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◇
電車に揺られること、1時間半。
デートの終点は、決まって自宅近くの公園だ。
ジャングルジムやブランコ、シーソーなどの遊具が設置されている、青空公園。
すっかり日は落ちて、公園には人っ子一人いなかった。
いつものベンチに、二人して腰を下ろす。
私はリュックから財布を取り出し、2万円を拓海に手渡した。
「はい、これ今日の分」
「こんないいの?いつも、この半分じゃん」
「今日の投稿で思いの外、稼げたから」
「なるほど」
「じゃ、また今度」
私はそそくさと、家路への道を歩きだす。
「ひな!もう暗いし家まで、送ってくよ」
拓海は駆け寄ってくる。
「だからそういうの、いいって言ってるでしょ。それ以上、しつこくするとアカウントブロックするからね」
スマホを拓海の目の前に突き出し、睨みつける。
すると、拓海は眉をハの字にして、観念したように言った。
・・
「それは困るなー、ひなは俺の大事な子だからね」
私は拓海の言葉を無視して、再び歩きだした。
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