しゃぼん玉、割れた。

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◇ 小学生時代の私は、太っていて地味で目立たない存在だった。 暗くて人見知りだった私には、友達が一人もいなかった。 だけど、本という大切な親友がいた。 本を読めばいつだって、現実の孤独を忘れられた。 本があれば友達なんていなくてもいい。 そう思っていた。 いつからか悪口を言われるようになった。 それでも気にしない。 傷付いていないふりをして、本を貪るように読んだ。 悲劇はある日、幕を開けた。 何を言われても動じない私に、クラスメイトの女子たちは新たないじめを考えた。 名前も顔も知らない、高学年の男子にいじめを代行させたのだ。 蹴られたり叩かれたり、物を盗まれる。 地獄の日々が続いた。 もう消えていなくなってしまいたいと、思った日もあった。 担任教師にいじめられていると打ち明けようとしたこともあった。 だけど、相談したことでいじめが激化するかもしれないと思うと、夜も眠れなくなった。
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