地獄と天国

1/6
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ

地獄と天国

 入場案内はかなり長く続けられていた。世界で初めて使う技術がふんだんに盛り込まれた、次世代ミステリーハウスの完成披露パーティなのだ。僕はその祝賀会に興味本位で申し込んでいた。昔からなんとなくホラーとかミステリーとか、そういう怖い物には興味があって、入場無料で御飯食べ放題という事だから、丁度暇も持て余していたし、参加してみた。怖ければ途中で帰ってくればいい。だって次世代の技術を使っているわけだから、本物の幽霊が出て来るわけでも無い。  「あなたに言ってはならない言葉を3つ決めます。」  遠くで司会者の男性が突然マイクを僕に向ける。慌てふためく僕。そして礼儀正しく目くばせを繰り返す司会者の男性。  「冗談です!このミステリーハウスで、そんな古めかしい古代のお化け屋敷みたいな事をしません!」  会場はゲラゲラと笑い声につつまれる。  「最新の人工知能を搭載しています。様々な角度から入館したお客様を分析しまして、5感を最高のレベルにまで研ぎ澄ませます。そうする事で、第6感を刺激し、これまでにない新しい恐怖体験を、オーダーメイドでご提供できるのが、このシステムの素晴らしいところです!」     
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!