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薄暗い自室。
まるで効かない暖房。
参考書しかない本棚。
丸められた敷布団。
これが本当に女子中学生の部屋かと、自分でも疑いたくなる。
情けなくなって、こころは必死にシャーペンを動かした。
(関係ないから…全部高校を卒業したら終わるから…)
ついさっき会った変な男を忘れたくて、さらに勉強に打ち込む。
(別に勉強なんて好きじゃないし。将来自立するためにしてるだけの作業だから)
とめどなく湧いてくる雑念を必死に振り払いながら、ノートに並ぶ文字の羅列を追う。
(ペンは剣より強しだから。こんなの全然苦じゃないっ!)
とうとう我慢できなくなって、こころはノートと教科書を閉じた。
全部投げ捨てたい衝動に襲われながら、実行に移せない自分に絶望して、こころは床に座り込む。
「死ね…」
汚い言葉を使えばクラスメイトたちに近づけるんじゃないか、なんて淡い希望を持って吐き出したその声は震えていた。
ますます自分が哀れで、ごろっとその場に寝転んだこころは耐えきれずに漏らす。
「こんな事で…」
たかがいつも通っていた神社にたまたま人がいただけじゃないか。
自分の場所だと思っていたのが、そうじゃなかった。
「それだけなのに」
ガチャ
呟いた彼女の元に、この家の主が帰ってきた音が届いた。
さっと青ざめて、こころは机に向かう。慌てて教科書を開き直した。
跳ね上がる心臓がうるさくて、下唇を噛んだこころは、またシャーペンへと意識を落とした。
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