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一章
「ほんっとに、死ねばいいのにー!」
ぼろぼろの神社の本殿から、少し離れた木のベンチに、心は腰掛けている。
もちろん、神社にベンチなどはない。毎日通っているこころが、座る場所が欲しくて設置したのである。
「人の顔色ばっか伺ってよー!? なーにが楽しいんですかねぇ!」
駄々っ子のように足をバタバタと振り回し、学校で溜まりに溜まったストレスを発散する。
これが、彼女の放課後だ。
「デブでブス、そんなんが生きてくためには勉強出来なきゃ無理なんだよ!てめぇらは私に何を求めてんだー!」
こころが言うほど彼女の体型も容姿も酷くはないが、やはり、気にしているようだ。
「好きに生きさせろよ、くずがーーーー!」
好きなだけ叫び散らしても、ここには誰もいない。
そんな安心感がこころを益々勢いづかせる。
「華子!てめぇバカデブスの癖に一軍に混ざってんじゃねぇよ!将来私の方がいい会社に入ってんだぞ危機感もてや!」
「越美!頭良かったのに周りに合わせてアホになりやがってよお!自分を持て自分を!私みたいになれよー!」
「遥!頭良くて顔良くて性格良くてスタイルいいだぁ!?ふざけんなよ、バランス良すぎなんだよ人間じゃねぇなさては!
…あっでも学年末テスト私の方が成績良かったよなぁざまーみろ!」
ついに力尽きたのだろう、はぁはぁと膝に手を置いて息継ぎをしている。
「しねーーーーーー!」
うおっ
…力尽きたんじゃなかったのかよ…。
…そろそろ白状せねばならないかな。
そう、俺の名は天乃光多羅彦。
この廃れた神社の唯一無二の神様だ。
毎日飽きもせずここに来て、かなり罰当たりにもかかわらず呪いの言葉を吐いていくこころちゃんを、かんさ…見守っている優しい神様なのさ。
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