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3 彼女の感触
近づいてくるスカイツリーを眺めながら、僕はスマホで時間を確認した。
今週の水曜日。
十五時半。
錦糸町で、僕は瀬奈と映画を観る約束をしていた。
今日がその日だ。
「授業は午前中で終わるんだけど、一度、家に帰って制服着替えてから行くね。
うちの学校、そういうのすごく厳しいから」
私服の瀬奈と並んで歩くのにふさわしい格好の基準。
その課題に僕は一週間悶絶させられたあげく、僕はとうとう悪友たちに打ち明けざるを得なくなった。
僕のこの経験不足な脳みそでは処理できないほどのハードミッションだ。
僅かな知識でもかき集めれば形になるかもしれない、というのは建前で、理由もなく四六時中にやけている僕を鋭い涼介が追及したのだ。
そして先制パンチを早速食らった。
「お前、何言ってんの?」
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