3 彼女の感触

2/34
前へ
/34ページ
次へ
      3 彼女の感触 近づいてくるスカイツリーを眺めながら、僕はスマホで時間を確認した。 今週の水曜日。 十五時半。 錦糸町で、僕は瀬奈と映画を観る約束をしていた。 今日がその日だ。 「授業は午前中で終わるんだけど、一度、家に帰って制服着替えてから行くね。 うちの学校、そういうのすごく厳しいから」 私服の瀬奈と並んで歩くのにふさわしい格好の基準。 その課題に僕は一週間悶絶させられたあげく、僕はとうとう悪友たちに打ち明けざるを得なくなった。 僕のこの経験不足な脳みそでは処理できないほどのハードミッションだ。 僅かな知識でもかき集めれば形になるかもしれない、というのは建前で、理由もなく四六時中にやけている僕を鋭い涼介が追及したのだ。 そして先制パンチを早速食らった。 「お前、何言ってんの?」
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加