5 彼女の嘘-2

2/22
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/22ページ
ネクタイを緩めた襟もとに、銀色の鎖がのぞく。 美容学校卒の変わった経歴のこの男は、美容師として何年か働いたが、どうしても髪に使用する薬剤が合わず辞めて、この会社の営業になった。 入社した時にはすでに妻子持ちで、多くの女子社員のため息が聞こえたっけ。 「べ、べつに、まったく飲めないってわけじゃねえし」 僕が口をつけようとしたとき、聡美さんが僕の背中を突いた。 「あんたはこっち。これはあたしが飲むから」
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!