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ネクタイを緩めた襟もとに、銀色の鎖がのぞく。
美容学校卒の変わった経歴のこの男は、美容師として何年か働いたが、どうしても髪に使用する薬剤が合わず辞めて、この会社の営業になった。
入社した時にはすでに妻子持ちで、多くの女子社員のため息が聞こえたっけ。
「べ、べつに、まったく飲めないってわけじゃねえし」
僕が口をつけようとしたとき、聡美さんが僕の背中を突いた。
「あんたはこっち。これはあたしが飲むから」
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