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そんな当たり障りのない言葉を打って返事を返した。
そのままポケットにスマホを戻すと、聡美さんがあの時何を言おうとしていたのかは、もう考えないことに決めた。
電車を降りた後も、瀬奈はずっと黙っていたが、途中のコンビニで、約束通りチョコレートを買って、それをひとつずつ口に入れて溶かしながらゆっくり歩いていると、
「これ、好き」
そう言って、瀬奈がようやく頬を緩ませた。
あの日、瀬奈に食べさせたかった新発売のチョコレート。お気に召したようだ。
ヨカッタ。
その時、小学生の男子の集団が、しょうもないことを連呼し合いながら僕らの周りを駆け抜けて行った。
でっかい声がいつまでも響いているので、僕と瀬奈の間にピンと張りつめていた緊張感が一気に緩んで、僕らは思わず噴き出した。
「あきら君もあんなだった?」
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