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健斗はすぐに連絡が付かず、錦糸町で車を停めて焼肉屋を物色しているときに折り返しがかかってきた。
「え、今?錦糸町……あ、近けえじゃん。来いよ」
事務所の歓送迎会の帰りで、スカイツリーの近くにいると言っていた健斗のほうが先に着いた。
「さっきも焼肉屋にいたんだよね、俺……」
ブルーのスーツにレモンイエローのGショック。
健斗は会うたびにカラフルになる。
一体こいつは何を目指しているんだろう。
それから一時間ほどしてようやく雅也が店にやって来た。
「遅せーよ」
「何言ってんの、ここの店、船橋にも支店あるの知ってる?どこって言わないからてっきり船橋だと思うじゃん。あっち行ってもいないし、電話しても出ないし。もう本当にばかなんじゃないの……あ、ぼくはラムネを……」
不愛想な若い店員にも、雅也は微笑みを絶やさない。
毎回毎回、思いっきり無視されるのに。
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