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そして、助手席には健斗が座った。
「ああ、そうだ。これあげる」
健斗はカバンの中から何かが大量に入っているビニール袋を取り出してそれを僕にくれた。
一番必要そうだから、そう言った。
「何、これ」
「俺がデザインを担当した販促品。キャンペーン用に作ったんだけど、期限切れだからもう配布できないんだ、だからあげる。中身はまだ使えるよ」
へえー、と言ってそれを目に近づけて僕はびびった。
それはピンクと黄色の派手な柄の小袋に梱包された避妊具だった。
「俺さ、この仕事天職だと思う。楽しくて仕方がない」
そうか、そう思うとこの四人の中でこれが一番必要なのは僕なんだろうな。
雅也にはまだ勿体なくて渡せないし。
小岩で雅也を降ろして、本八幡で健斗を降ろした。
時計を見ると、もうすぐ二時になる。
さすがに眠い。
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