0人が本棚に入れています
本棚に追加
「眠れた?」
「うーん……まりなちゃんとずっと喋ってたから、まだちょっと眠たい」
そう言って瀬奈は瞼をこすっている。
朝っぱらか可愛らしさフルスロットル。
起き抜けの無防備な彼女を、僕は思わず抱きしめる。
「ココアでも飲もうか」
「うん」
ちょっと濃い方が良いと瀬奈が言うので、濃い目のココアを小さな片手鍋で作って、マグカップに注ぐと、僕たちはキッチンにもたれたまま熱いココアを飲んだ。
「……やっぱり、今日、帰るね」
ずっと、とは思っていなかったけれど、しばらくはここに居てくれると思い込んでいた僕は驚いて彼女を見た。
「昨日、親父に言われたこと気にしてるとか……」
「そうじゃないよ」
「遠慮してる?」
彼女は首を横に振る。
最初のコメントを投稿しよう!