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「何って、お兄さんに相談してんじゃん」
「お兄さんって言うな、気持ち悪い」
「早く行こうよ」
「ダメだよ、めちゃくちゃ怒ってんじゃん。今日は無理だって」
僕がネクタイを緩めてタンスを開けても、二人とも一向に出て行く気配がなく、それどころか、じゃれ合うようなケンカを続けている。
「あのー、着替えるんですけど、僕。出て行ってもらえませんか」
僕の存在は完全に二人の視界から消えている。
口論ですら、二人はとても楽しそうに見えた。
そうこうしているうちに、二人はまたリビングに向かい、僕の部屋はようやく静かになった。
着替えを始めながら耳を澄ましていると、ドアの向こうから涼介の声が聞こえてきた。
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