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「……はい、ええ、その、順番が違うってのはもう、どうにもならなかったって言うか……いや、その無責任なその、あれじゃなくて……」
しどろもどろの涼介に笑いが込み上げてくる。
ベッドの上の、脱ぎっぱなしだったトレーナーに首を突っ込んだ時だった。
「娘さんを僕に下さい!お願いします!大事にします!お願いします!」
やたら大きな声が聞こえて、僕は裾を整えることも忘れて、ドアを細く開けて外の様子をうかがうと、リビングで土下座をする涼介の姿が見えた。
その後ろにはうつむいて正座をしているまりなも見えた。
イスに座った父は腕組みをしたまま、手で顔をひと撫でした。
泣いているのだ。
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