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涼介が飯をおごってやるというので、僕は父の車を出して彼らを送って行ってやることにした。
涼介の家に着くと彼のお母さんが出て来て、久しぶりの僕を見て、大きくなったと言って、やたらと背中を叩いてきた。
「妊婦を男所帯に置いておくのは心配で、ちょっと急かしちゃったんだけど、お宅は大丈夫?」
「あ、うちは全然。かえって助かります、僕らじゃわからない事ばかりだと思うし」
「そうなのよ、この子、大雑把だから。安定期になるまで、もう、目が離せない」
そう言って、涼介のお母さんはまりなと腕を組んで見せた。
その姿を見て、僕はちょっと寂しくて鼻がツンとした。
彼女が誰かに大切にされている姿は、兄として、やっぱり、めちゃくちゃうれしい。
まりなを送り届けた後、助手席に乗り込んで来た涼介が、シートベルトを締めながら腕時計を見た。
「この時間だと焼肉とビールしかねえな」
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