1 彼女の体温

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「この、瀬奈って出たのが、私。 よろしくね、あきら君」 あ、あきらくん? 十歳も下の女子高生に君付で呼ばれるとくすぐったいどころか、ばつが悪い。 「……瀬奈ちゃん、ね」 僕たちは人ごみを避けながら階段をゆっくりと下りた。 「そうだ、これ、使う?駅前でもらったティッシュなんだけど」 瀬奈がカバンの中からポケットティッシュを二つ取り出してくれた。 大きく開けたカバンの口から、 ラインストーンの散りばめられたペンケースや、 メイク道具でも入っているのか、 ピンク色のかわいらしいポーチが見えた。
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