1 彼女の体温

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「ありがとう、今の季節はとっても助かるんだよね」 「良かった。じゃあ、私、こっちからバスに乗るから」 瀬奈がそう言って北口を指さしたので、僕は駅前の銀行の向かいのビルを指さして言った。 「僕はここで働いてる」 「何屋さん?」 「不動産屋」 「マンションとか売ってるの?」 「いや、売買じゃなくて、僕は賃貸の方……」 鼻をすすりながら、胸ポケットから名刺を取り出して渡した。
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