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「ありがとう、今の季節はとっても助かるんだよね」
「良かった。じゃあ、私、こっちからバスに乗るから」
瀬奈がそう言って北口を指さしたので、僕は駅前の銀行の向かいのビルを指さして言った。
「僕はここで働いてる」
「何屋さん?」
「不動産屋」
「マンションとか売ってるの?」
「いや、売買じゃなくて、僕は賃貸の方……」
鼻をすすりながら、胸ポケットから名刺を取り出して渡した。
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