1 彼女の体温

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事務所に入って開口一番、 僕の三年上の先輩、聡美さんが言った。 「なあに、さっきの女子高生?通勤途中にナンパなんて、ずいぶん出世したね」 フロア全体に聞こえるほどの大声を出したので、 僕は耳まで真っ赤になった。 うちの事務所の窓からはロータリーが良く見える。 僕と彼女の様子もきっと丸見えだったのだろう。 「ち、違いますよ、困ってたところをちょっと助けたら、 とても喜んでくれたってだけですよ」 「わかってるよ!あんなかわいい女子高生が、 わざわざしがない地味なサラリーマンなんぞ 選ばないでしょう」
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