1 彼女の体温

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僕の前にはドアを背にして僕と向かい合わせになる形で、モスグリーンの制服に身を包んだ女子高生がひとり立っていた。 船橋で乗り込んで来たのか。 うつむいているから顔はわからなかったが、この髪の感じは好きだ。 セミロングの黒髪に白い艶。 そう思った途端、さらにくしゃみが襲う。そして尋常じゃない目のかゆみ。 ああ、だめだ。 今日はだめだ。 僕はもう観念して、両手でつり革に捕まるとうなだれて、目を閉じて悟りを開くことにした。
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